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メグ・カナの思い出

栗原 恵(日立リヴァーレ)× 大山 加奈(元東レアローズ)

この対談は月刊バレーボール10月号でも続きを掲載しています!お楽しみに

今も現役で活躍する選手が多い1984年生まれの“メグカナ世代”


同世代で全日本で活躍していた選手たち


大山
私たちの世代って、男子も女子もVリーグや全日本でプレーした選手が多いよね。女子ではメグ(栗原)もエリカ(荒木絵里香/トヨタシ車体リヴァーレ)、アリちゃん(有田沙織/上尾メディックス)とか…男子はもっといるし、バレー好きな選手がそろっている。
栗原
確かにそうだね。今も現役でプレーしている選手も多いし。
大山
みんな中学、高校時代からユースやジュニア、選抜チームでも一緒に戦ったメンバーだし、全国大会ではライバルとして対戦したりしたね。 特にメグがいた三田尻女子(現・誠英高)とは、春高の決勝でも戦ったし…私たちの一つ上の代の三田尻には、すごいメンバーがそろっていて、メグも入って三冠を取った。正直ね、あの世代の方が卒業したら三田尻のレベルは落ちるのかな? と、思ったけど、そんなことなくてすごかった。




東レアローズにてVリーグで活躍していた大山さん


栗原
えー(笑) でも春高バレーの初戦、1セット取られて本当に悪夢がよぎったんだよ“あ~終わった~”って。
大山
その試合見てた!“あ、三田尻負けちゃう?”って、確かに思った。
栗原
そう。だからまさか、春高の決勝戦でカナ(大山)たちとできるとは思わなかったな。
大山
私たち“代々木の子”って言われたしね。
栗原
そうそう柳本さん(晶一/元全日本女子監督)にね! しかも、カナは小学校、中学校、高校と全部で全国優勝している。そんな選手ほかにいないから。
大山
いやいやミキ(大山未希/元東レ。大山加奈さんの妹)がいたからだよ。私、ミキに操られてたから。
栗原
(笑) でもね、私が“バレーボール頑張りたい”って思ったのは、カナとミキが小学生のとき、テレビに取り上げられているのを見て“すごいな”って思ったことがきっかけだったから。だから、中学で初めて実際に見た時は、“あ、テレビの人だって”思ったよ(笑)。
大山
(笑)メグを試合で実際に見たのは、中2の全国中学の時。
栗原
あのときは“バレーで強くなりたい”と思って、地元の広島を出て、兵庫県の大津中に転校したばっかりだったので、ベンチにいるだけだった。
大山
大津中に“すごい大きい選手がいるぞ”って見に行ったのが初めての出会い。中3で、中学選抜で一緒になって、初めて一緒にプレーをして。(当時は)本当に細い、今も細いけど、本当に細かった。
確か…その後かな? 初めて話したんだよね。メグの中学校(大津中)と合宿したときに、すごい覚えてる。一緒に写真撮ったもん。
栗原
本当? あれ? 忘れてる(笑) でも、きっとそのときすごい喜んでたと思う。その後、私は同世代と一緒に選抜チームに選ばれたりしたけど、カナは、私たちがユースのときは、ジュニアに行ったりと常に一つ先に行っていた。だから、初めて全日本に入ったときは心強かったな。カナが若手がやらなきゃいけない仕事、全部わかっていたし、いろんな人も知ってるからいろいろ助けてもらった。
大山
いやいや…練習もきつかったしね、本当いろいろあったね。
栗原
 濃いね。確かに。

エースの仕事は数字では見えない部分もある…ぜひそこに注目してほしい!




日立リヴァーレで活躍中の栗原選手


大山
V・プレミアリーグは、チャレンジシステムが導入されるんだよね。
栗原
そうそう!
大山
ルールも少しずつ変化して…今はデータもすごい出るし。前は8割くらい根性だった?(笑)
栗原
そうだね、8割くらいかな(笑)
大山
でも、データを取るようになってもスポーツをやる上でその根っこに気合と根性は絶対必要。もちろん間違った方向はダメだけど、そこは絶対に必要でその上にデータだよね。そこを間違えないようにしなければいけないと思うんだ。
栗原
確かに。やっぱり、データをもらっても、そのデータ通り動いたり、サーブでも攻撃でもピンポイントで狙うためには必ず技術が必要。データがあれば大丈夫というものではないから。それを裏付けるだけの練習や技術はもちろん必要だからね。選手の指標にはなりやすくはなっているけど。
大山
そうだね。それにエースのポジションって、数字ではないところもかなりあると思う。難しい、厳しいトスもたくさん上がってくるポジションだから決定率、効果率がどうしても上がらない。でも、高校のとき小川先生(下北沢成徳高/小川良樹監督)が言ってくれたのが、“エースが苦しいボールを一生懸命打ってチャンスボールが返ってきて、それをミドルブロッカーや他の選手が決めてくれたらそれはお前たちの1点なんだ”って。
栗原
素敵だね。
大山
うん。その言葉がずっとあって。だから、数字も大事だけど、数字ばかりになってほしくないなって思っている。Ⅴリーグを観戦される方もそういうところも見てほしいな。
栗原
そうだね、エースに限らず、どのポジションにでもチームに必要としてもらえることはやりがいにつながるよね。でも攻撃に至るまでには必ずレシーブとトスがなければバレーボールは成り立たないので、その支えがあることを忘れてはいけないよね。

バレーボールのすばらしさを伝えていきたい


大山
今、メグはチームで最年長かな? 次は誰になる?
栗原
モエ(遠井萌仁)かな? 3つ下で、その下とは5、6歳違うと思う。そういった仲間とプレーすると、自分が若いときにはわからなかったものがたくさんあると感じるんだ。当時の自分を思い返して反省することもあるし(笑) 今は、若い選手たちが頑張っている姿から、自分が学ぶべきことがたくさんある。もちろん“試合に出られなくて悔しい”という思いもありつつ、チーム競技なので、チームが勝つために自分に何ができるかというところとか…たくさん考えることが増えたなって。いいことなのか、悪いことなのかちょっとわからないけど、やっぱり経験を重ねていく分、視野も広くなって、それをどう表現できるかというところで、ちょっともがいている感じでね。
大山
なるほどね。でも、きっと年齢を重ねていくと周りを余裕もできるんだろうね。私、今、プレーしたらバレーボール楽しいだろうなって思う。いろんなことが見えるようになって、余裕が出来て、もっと違うプレーができるんじゃないかなって。
栗原
私、パイオニアにいたころ、ベテランの選手に囲まれて“まだ30歳はひよっ子だ”ってずっと言われてたから。20代前半のころにその話を聞いてすごいなって思っていたけど、早いもので自分がすでに30歳過ぎだと思うとびっくりする(笑) でもね、いまだに励ましてくださる存在の先輩ばかりなので、本当に出会いに感謝だなと思っているんだ。
大山
今季はメグがパイオニア時代に一緒にプレーしていた麻子さん(トヨタ車体クインシーズ/多治見麻子監督)が監督に就任されて対戦するんだね。
栗原
そうそう、トモさん(JTマーヴェラス/吉原知子監督)も。
大山
すごいな。
栗原
確かに。チームによって考え方も取り組み方も違うし、選手のカラーも全然違うから、いつも勉強させてもらっているなと思うよ。 やっぱり、バレーボールを続けたいと思っても受け皿がなければ続けられないし、この年齢になっても必要としてもらえるチームがあるということに感謝していて、本当にありがたいなと思っているんだ。これまで以上に、自分がプレーできる意味というのを更に強く感じるようなったんだ。 今季、どのチームも強いし、厳しいリーグになる、その覚悟をみんな持っていると思う。もちろん優勝を目指すけれど、そこに行くまでが長いし、そこの行き着くまでに自分をどう高めていけるか、というところに視点を置いてやるしかないかなと。
大山
なるほどね。バレーボールは奥が深いね。
栗原
うん。やっぱり、経験を積めば積むほどバレーに対する取り組み方とか考え方とかが、すごい大きく変わってくるから、プレーしていても違う楽しさが見えてくるよ。もちろん、その分プレッシャーもかかるけれど、今まで見えなかった部分が少し見えてきたりとか、他の人のプレーを見ていても“こうしたらよくなるかも”ということに気づいてきたりとか…残念ながら、そこをアドバイスするまでの力量が自分にはないけどね(笑) でも今までとはまた違う視点で見られているな、というのは感じることがあるんだ。
大山
なるほどね。私も今、解説のお仕事をさせていただいたりすると、海外の選手の駆け引きにもおもしろさを感じたりするしバレーボールのおもしろさをより多くの方に知っていただきたいなって思うんだよね。
栗原
カナ、バレー教室も積極的ですごいよね。
大山
でもね、現役選手のパワーってやっぱりすごいよ。子供に与える影響は大きいから。 現役選手のプレーを目にするとか、触れ合えるだけでも本当に子供たちはすごく大きな影響を受けると思うので、もっとそういう機会が増えるといいなって思う。もちろん、試合に向けてのコンディション作りもあるから、無理はいえないけど、できることはもっとあるんじゃないかなって。バレー界が今、置かれている状況を感じて行動していくことが必要だよね。
栗原
やりたいけど、バレー部がなくてできない選手もいるし…。
大山
トップの選手も、引退した私たちも、小中学生とか底辺の指導者の皆さん、バレーボールに関わるみんなで本当バレー界をなんとかしよう、盛り上げていこうっていう意識を持って頑張っていかなきゃいけないよね。バレーボールの国内リーグが50周年からもっともっと続いていくためにも。そのために私もしっかり頑張っていきたいと強く思った。
栗原
頑張ろうね。

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